こんにちは。かわ吉です。
投資で狙うものは、大きく分けると元本の値上がりを狙うキャピタルゲインと分配金などの収入+αを狙うインカムゲインがあります。インカムゲインを獲得するために毎月分配型の投信を保有している人も多いと思います。ただこの毎月分配型ファンドって注意が必要な商品も多くて、最近楽天証券でよく売れている毎月分配型ファンドの1つとして『ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインαコース』があります。今回はこのファンドを検討されている人やすでに保有されている人にお伝えしたいことがあるのでそれについてまとめてみようと思います。
ぶっちゃけ大半の人は、『ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインαコース』は不要だと思います。このファンドへの投資が不要である理由は3つあります。この3つの理由について順番に解説していこうと思います。
ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインαコースとは?
もうすでに商品については十分分かるという人はこの部分は飛ばしてください。
このファンドはT&Dアセットマネジメント株式会社が委託会社である投信信託です。
主な概要は以下になります。
設定日 | 2014.12.19 |
償還日 | 2022.12.26 |
決算日 | 毎月25日 |
買付手数料 | 4.40% |
管理手数料 | 1.813% |
信託財産留保額 | 0.30% |
投資戦略としては、ブラジル株式とオプション取引を組み合わせたカバードコール戦略になります。詳しくは説明しませんが、現物の売買だけではなくオプション取引も合わせて投資していくということです。そもそも『オプション取引って何??』という人は、まずはこちらをご覧下さい。
【先物・オプション取引】オプション取引とは | はじめての先物・オプション取引 | ネット証券会社なら岡三オンライン証券 (okasan-online.co.jp)
ざっくり言うと、『インカム収入(配当など)の種類を増やすことで収益の上乗せもできるし、相場が下落しているときはインカム収入で損失を小さくできます』という認識でいいと思います。
ブラジル株式だけではなく、米ドルにも同じような運用をしていきます。
仕組みは少し複雑な投資信託です。ではこの投信が投資不要である理由を解説していきます。
典型的なたこ足ファンド
まずはこのファンドの過去の分配金推移をご覧ください。
もしこのファンドを先月の頭に100万円購入した場合に受け取れる分配金は税引前で約31,000円です。そしてこのペースで分配金を受け取り続けたときの分配金利回りは、なんと約40%です。このファンドが毎年40%以上の利回りで運用を続けることができれば受け取る分配金は定期預金の利息とは言えないまでも、比較的安心して使える分配金になると思います。
しかし、2014年からのパフォーマンスも見ても年40%を超えるリターンは出ていません。つまりは、受け取る分配金のの原資の大半は、投資した元本から払い出されています。
『分配金が多ければ原資が元本かどうかは全く問わない!!』という人であれば、このファンドを選ばれても良いと思いますが、『安心して使える分配金が欲しい!!』という人は絶対に合わない投信です。
安心して使える分配金が欲しい人は、『予想分配金提示型ファンド』がオススメです。
ブラジル株式に投資するならETFでオッケー
このファンドを検討しているorすでに保有している人の中には、『分配金よりはブラジルに投資したい!!』(かなり比率としては少ないと思いますが、、、)という理由で保有されている人もいらっしゃるかもしれません。
ただブラジルを含めて新興国株式への投資って、かなり難易度が高いんです。
このチャートは、『iシェアーズMSCIブラジルETF』です。20年間のパフォーマンスで見ると、かなり上下の変動率が大きいです。長期で保有していてもチャートが右肩上がりではないので報われにくいです。どちらかと言えば、タイミングを図って売買して投資をするには面白いかもしれません。そういった意味では玄人向きの市場です。
この事実を承知の上で投資するのであれば良いのですが、そうでなければ投資を控えるか投資するとしてもポートフォリオに占めるウエイトは小さくした方が良いと思います。投資をするとしても、オプションなどを使わないシンプルな投資であるETF等で十分だと思います。
なぜ新興国株式投資が難しいのかについては下記の記事にまとめています。
ちなみにETFって何ぞや??という人は、下のサイトをご覧ください。
ETFとは? | ETF(上場投資信託)|日興アセットマネジメント (nikkoam.com)
今日のところは『投資信託の仲間』という認識でオッケーです。ブラジルに上場されている株式の詰め合わせパックといったところです。
商品性が複雑
3つの目の理由としては、シンプルに仕組みが分かりにくいということです。
そもそもこの投信に使われているオプション取引は大きな資金を動かす機関投資家などがよく用いている手法だと思います。それは彼らはリスクヘッジなど明確な目的を持ってその手段を使っています。機関投資家が使う手法を個人投資家が使う必要があるのかどうかは個人的に少し疑問です。本業が投資ではない人が、プロの投資手法を全員理解できるとは到底思えません。自分で理解できないことをやるのは一番危険な行為だと思います。
仕組みが複雑になることで内容が分かりにくくなるし、運用コストもかかります。正直メリットが私には分かりません。
個人投資家は、基本的に現物の売買などのシンプルな投資手法で十分だと思います。
まとめ
結論として、ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)への投資は不要だと思います。理由としては、毎月の分配金は元本から崩して払い出されるタコ足分配になっており、安心して使える分配金ではないこと。ブラジル株式に投資するとしてもETFなどの商品で代替できること。商品性が複雑すぎて分かりにくいこと。以上の3つが考えられます。
もちろん全員が投資する必要がないとは言いません。商品性をしっかり理解した上で、分配金も元本からの払い戻しかどうかというよりも少しでも多くのキャッシュフローが欲しいという投資家の方には合うと思います。
ただそのような方は、そこまで多くないと思いますので大半の方には投資は不要です。
投資信託は国内で約6000本あります。この中には良いファンドもあれば、良くないファンドもたくさんあります。そういった意味では投信の目利き力が必要ですし、もしくは銀行や証券でその目利きをしてくれる担当者を見つける必要があります。
とはいえ銀行や証券会社の窓口には行きづらい方も多いと思います。そのような方はこちらの書籍からご覧ください。
銀行や証券会社に属さないファイナンシャルアドバイザーの方が書かれた書籍です。これまでの銀行や証券とは違って、よりお客さま目線で書かれた内容になっています。
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